アジア最大(194p)のアニメ脚本家
小山高生さんへのインタビュー記事を掲載出来ることになりました。
記事はGさんが書いておられます


心のあり方が元気のもと アニメ脚本家 小山高生さん

アニメの脚本家として30年間、第一線で活躍。その間80作品700話以上の脚本を書いてきた小山高生さんは、同時に、これまでに40名ほどの脚本家を育成してきました。その指導法は、技術を教える前に徹底して心のあり方を説くというもの。「思いが私たちの行動を決めてしまう」が小山さんの考え方の基本なのです。小山さんの指導法を知ることは、私たちがイキイキと生きるための貴重なヒントになるはずです。

○金よりも人を残したい
 小山高生さんは、アニメの脚本家だ。主な脚本作品は、『いなかっぺ大将』『タイムボカンシリーズ』『Dr.スランプ アラレちゃん』『ドラゴンボールZ』など80作品700話以上。おそらく、小山さんが脚本を書いたアニメを一度も見たことがない人は少ないのではないか。
 同時に、小山さんはこれまでに40名ほどの脚本家を育ててきた。現役のアニメ脚本家は百数十名しかいないというから、3割以上は小山さんの教え子という計算になる。脚本家育成のきっかけになったのが、16年前に『アニメシナリオハウス』というシナリオ教室を始めたこと。参加者の才能、熱意、志の高さに小山さんは心を動かされた。
「金よりも人を残そうと思ってしまったんですね。それが苦労の始まりでもあったわけですが…。でも、まさかこれほどの脚本家が育つとは夢にも思っていませんでした」
 シナリオ教室の参加者から、小山さんが将来有望だと判断した教え子を集め『ぶらざあのっぽ』という企画創作者集団を結成。シナリオの勉強会を開いて技術を磨く一方で、ある一定のレベルに達した教え子には、自らが依頼を受けた仕事を与えた。
「無名の若者には大きな仕事は来ません。かといって、経験を積まなければいつまでも実力はつかない。そこで、プロデューサーに『原稿がダメな場合は私が責任を持って書き直します。教え子に脚本を担当させて欲しい』とかけあって、彼らに経験を積ませていきました」
 もちろん、教え子が書いた原稿は、小山さんがチェックした上で提出させた。締め切りが迫っているときには、教え子と一緒に夜を徹して手直ししたこともあったという。それと同時に、自らの仕事もこなさなければならない。まさに毎日が戦争だった。
「でもそのおかげで、私自身の作家生命を伸ばすことができたと思っているんです。若い教え子達と一緒にいると、彼らの感性からいろいろな刺激を受けます。アニメは子供に喜んでもらわなきゃ意味がない。私自身の感性がさびついてしまったらおしまいですから」
○心を向けることが大切
「朝晩10回ずつ『アニメ脚本家になれる』と唱えること。10年続けられれば必ずプロになれる」
 小山さんは、教え子達にこう言い続けてきた。
「たしかに、文章力や、ユニークな視点でものを見られる力なども必要です。でもそれだけではダメな場合が多い。大切なことは、自分の心を、想いを常にアニメの脚本に向けていられるかということです。向けていられれば、その仕事に向いているのです」
 たとえば、旅先のホテルで絵はがきを書いたとする。投函するために絵はがきを持って外に出ると、初めて来た町でも郵便ポストや郵便局が目に飛び込んでくる。しかし、絵はがきを手にしていなかったら、その存在すら気づかないで帰ってしまう。
「絵はがきを持つことも、脚本家になると唱えることも、心のアンテナをある方向に向けるということなのです。そうすると、自分に必要な情報が入ってくる。方向性が大事なんです。サッカーでいうモチベーションですね。目標に向かってがんばれるんです」
○思い描けることはできること
「人間は誰でも自分の器の中のことしか、思い浮かべられない」と小山さんは続けます。
「もしも『アニメ脚本家になれる』と唱えられるなら、それは自分の器の中のことだから、精進すればできることなのです。『思い描けることはできること』ということでもあるのです」
 脚本家は「なれたらいいな」などという柔な想いではなれない仕事だし、「なれないかもしれない」などと思うようであったら絶対になれない職業だと痛感している。
 やっていることが自分に向いていない場合、自然と心を向けられなくなってくるのだ。
「もちろん心を向けるだけでなく、脚本家にとって必要な技術を身につけるための地道な努力も欠かせません。でも、自らの心のあり方を無視したら、成功は難しいと思います」
○面白い作品を作りたい!
 心を向けること以外に小山さんが強調するのは、何のためにアニメの脚本家になるのかということ。
「脚本家になったばかりの頃、作品を見た知り合いから『面白かった』と言われるだけで、天にも昇るような気分になれた。貧乏だったし、先輩達からずいぶん厳しいことも言われましたが、そんな苦労は吹き飛んでしまうんですね。『面白いと言われる作品を作りたい』。強い思いがあったからこそ、脚本家として30年間もがんばってこられたのだと思っています」
 ところが、小山さんはここ数年、脚本を書く情熱が薄れてきたことを実感している。
 最近、テレビアニメ界では、商売第一でスポンサーの意向に迎合したり、一部のアニメ愛好家向けに、美少女を登場させたりするような作品が増えてきた。また、テレビ局側も確実に視聴率をかせげる作品を求めるようになり、マンガ雑誌などですでに人気がある作品をアニメ化する場合ほとんど。アニメ脚本家が、オリジナル作品を発表できるチャンスは限りなくゼロに近い。
「とにかく儲かる作品を作ることを要求されることが多くなって、現場スタッフの『面白い作品を作りたい!』という情熱が萎えているような気がします。面白い作品を作れば、その結果として儲かるはずなのにね。正直なところ、日本のアニメ界に嫌気がさしていました」
 その上、若いプロデューサーにとってアニメ界の重鎮である小山さんを使いづらいのも事実。この2年間、小山さんは年に1作品ずつしか脚本を書いていない。仕事の発注がないからだ。
 そんな小山さんを元気づける出来事が起きた。今年の夏、ニューヨークで開かれた「アニメエキスポ」に招待客として参加したときのことだ。
「自分が手がけた『ドラゴンボールZ』について瞳を輝かして熱く語る子供たちに出会いました。そのイキイキした様子を見ていたら、こちらまで元気になってきてね。引退する前に、もう1作くらいめちゃくちゃ面白い作品を世に送り出したい。久しぶりにやる気が出てきました。アメリカのファンたちから元気玉をもらったわけです」
 教え子には、心を向けることの大切さを力説してきた。そのくせ、自分の心はアニメの脚本から離れていた。だから、仕事も入ってこなかったのではないか。しかし、アメリカでの体験をきっかけに、小山さんは心の向きを元に戻すことができた。
 アメリカから帰国直後、早速オリジナルアニメの制作に力を貸してもらえないかとの打診があったというから面白い。
「まさに心を向けたとたんです。本当に不思議ですね。まだ、正式に決まったわけじゃないですが、面白い作品を作りたいですね」
 小山さんは、脚本家以外の仕事にも挑戦を始めた。今年の6月には『元気玉−大人が変われば子供も変わる』(リヨン社)という本を出版。子供を元気に育てるには、まず大人が変わらなければダメ。そのための具体的なヒントを集めた本だ。
 アニメ界の雰囲気が儲け中心になったことで、どれだけ自分の元気や創作意欲が奪われてしまったか。小山さんは、自らの体験を通して痛感してきた。
 同じように、今、大人は子供の元気を奪うような生き方をしているのではないか。そのことに気づき、「何に心を向けて生きているのか?」、「それは何のため?」と問い直すことで、なによりも大人自身が元気になれる。その時こそ、子供はもともと持っている元気を十分に発揮できるのではないだろうか。
 

管理人

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